先日元気が無くて尿が出ないという事で来院した猫のイクラちゃん。血液検査で腎臓の数字のBUN、Creが振り切っていて、カリウムも8以上でかなり危険な状態でした。
まだ、4歳でこのような数字の場合は尿管結石の事が多いので、すぐに結石の確認のためにエコー検査とCT検査を行いました。
でも、イクラちゃんには尿管結石はなく、そのほかの尿管閉塞を起こす原因も見当たりません。
でも、少し輸液を流しても、全く尿は作られて来ず、原因ははっきりしませんが急性腎障害(AKI)を起こしているのは間違いありません。AKIは中毒や感染症など様々な原因で起こりますが、原因がはっきりしないことも少なくありません。今回のイクラちゃんの場合も、中毒部室との接触のないということでした(猫で多いのはユリなんですが)。
ただ、尿は作られていなくて、数字から考えても、このままだと明日までにも亡くなってしまうような状態でした。
そこで飼い主さんには血液透析や腹膜透析などの腎代替療法をご提案しました。イクラちゃんの腎臓が尿を作ってくれるまで、透析で一時的に腎臓の代わりをする治療です。
イクラちゃんは飼い主さんと相談のして、腹膜透析を行うことになりました。腹膜透析を行うと決まったのはすでに夜でしたが、明日まで待つ余裕はありませんので、それから腹膜カテーテルを入れる処置を行い、その日から腹膜透析を開始です。
幸いなことにイクラちゃんは数日で尿の産生が起こり、腎臓の数値は正常まで下がって無事退院できました。
動物の腎臓の治療ではよく輸液が行われますが、もちろん尿が産生されている場合は輸液は治療になるんですが、尿が作られていない場合や尿が減っている場合(無尿や乏尿といいます)は逆に過水和といって動物に負担をかけてしまうということを知っていて欲しいと思います。
イクラちゃん、無事に退院できて本当に良かった〜。
写真はちょっと緊張気味のイクラちゃん(^◇^;)。とても可愛い子です


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