尿管に結石が詰まった場合、治療法としてはいくつか選択肢があります。
大きくは内科療法と外科療法に分けられます。
簡単に言うと内科的 つまり手術などをせずに薬などで結石を流していく治療と、外科的 つまり手術によって閉塞を解除あるいはバイパスを作ってやる方法です。
これらのどちらを選択するかはその時の状況にもよります。例えば元気食欲もあって、血液検査で腎臓の数値も上がっていない場合は内科療法で少し経過を見る余裕はあると思いますが、腎臓の数値がすでに高くなっていて、状態も悪い場合は内科療法で流れるのを待つ余裕もない事が多いです。
なので、できるだけ手術は避けたいと思っていても、現実には内科療法で結石の排泄を促す時間的な余裕がない場合がほとんどです(実際に病院で尿管結石を見つけたときは、すでに元気食欲の低下で来院されていることが多いので)。特に当院の場合、紹介で来院される子も多いため、このような状況になっている場合が多いのかもしれません。
また仮に内科療法を選択する余裕があったとして(そこまで数値が高くない場合)、内科療法で結石の排泄が治療で成功する確率は10%以下と言われていて、決して高いものではありません。
なので多くの場合は外科的な治療が選択されることになりますが、外科的な治療にもいくつか方法があります。

尿管結石の外科的治療法

尿管結石の外科的な治療には以下の3つがあります。
①尿管を切開して結石を摘出、尿管を縫合する方法
②尿管を結石の詰まっている部分よりも腎臓側で切断して、それを直接膀胱につなぐ方法
③尿管ステントやSUBなどのバイパスシステムなどの人工素材を使って尿の流れを確保する方法
これらの手術は動物の大きさや年齢、結石の閉塞している場所、動物の全身状態(麻酔に耐えれる時間)などのよって選択します。
例えば大きな犬や、サイズの小さな動物でも尿管がかなり拡張している場合は①の方法でも問題ありませんが、猫のようなサイズの場合はマイクロサージェリーという人で細かい血管をつなぐような手術ができる先生や設備がなければ、術後縫合した部分が狭窄と言って狭くなってしまい、結局尿が流れなくなってしまいます。なので①の方法は猫ではおそらく限られた先生しかされないと思います(犬は別ですが)。
また最近猫によくおこなわれている③の手術もとても良い方法ですが、やはり完全ではなく、ステントの再閉塞などの問題が報告されています。また人工材を入れるということで、合併症なども報告がありますので、若い子に対してステントやSUBを安易に入れることは個人的にはあまり良くないと考えています。ただ、例えば結石が1つであれば尿管切開で対応できても、複数の結石が離れた場所に閉塞していることもあり、そういう場合は年齢が若くても、現実的にはSUBを入れるしかない事もあります。
なのでどれか一つの方法が優れているわけではなく、それぞれの治療を状況によって使い分けることが大切だと思っています。


シェアする