猫の尿管結石の顕微鏡手術
猫の尿管結石が多いと言う話しは何度か書いたと思います。
1才以下という若い年齢で来院されることも少なくなく、若い猫から高齢の猫まで本当に多い病気です。
若い猫が腎臓の数値が上昇した場合は、通常の慢性腎臓病とは違うと多くの先生が考えますから、誤診される事は多くは無いと思いますが、中高齢の猫の場合は慢性腎臓病と誤診される場合も多いです。
治療は内科療法と外科手術に分かれますが、内科療法に反応することは非常に少なく、多くの場合は外科手術が必要になります。
外科手術は以前はステント、最近はSUBが使われることが多いですが、人工材料を入れることになりますので、将来的に問題が起こる可能性もゼロではありません。現在使われているSUBは手術時間も短く済み、ステントに比べると再閉塞のリスクは少ないと言われていますが、まだ長期的な合併症などは分かっていないというのが現状です。
なので、当センターでは若い猫に関してはSUBなどの人工材はできるだけ使わない手術をおすすめしています。それは顕微鏡を使いながら尿管を切開して結石を取り出し、その後髪の毛よりも細い糸で縫う手術です。猫の尿管は非常にデリケートで通常の縫合だと、その後狭窄と言って径が狭くなったり、閉塞してしまう可能性があります。顕微鏡での繊細な手術でできるだけそのようなリスクを減らしたいと思っています。
もちろん結石の閉塞している場所や個数、尿管の炎症の状態に寄ってSUBを使わなければいけない場合もあります。
ただ、尿管結石は何でもかんでもSUBと言うのではなく、猫の年齢や左右の腎臓の状態、結石の個数、結石の閉塞している場所、尿管の状態などによって使い分けるのが最もいいのではないかと思っています。
写真は尿管から結石を取り出している所です。顕微鏡でかなり拡大して手術していますが、結石の大きさは1mmです。