尿検査のところでも書きましたが、動物の慢性腎臓病のステージ分類をおこなうIRISのシステムではサブステージの分類に尿中蛋白の有無と高血圧の有無が必要です。
そういう事もあって腎臓病の動物の血圧測定は本当に大切です。
腎臓病の動物は腎性高血圧という状態になる事があります。これは腎臓が尿中に排泄するナトリウム量が減ることや、レニン・アンジオテンシン系の活性化など様々な原因で起こります。そしてこの高血圧はその後の予後に大きく影響します。
同じ慢性腎臓病でも、高血圧がある場合と高血圧がない場合ではその後の腎機能の低下速度が大きく異なることが知られています。簡単に言えば、同じ慢性腎臓病でも高血圧がある子の方が早く腎臓病が進行してしまう可能性が高いと言うことです。なので、高血圧がある場合は血圧のコントロールも必要になります。これはとても大切な治療です。


この表を見て下さい。
ちょっと難しいかも知れませんが、この表の横軸は日数を、縦軸は腎臓の機能を表しています。
腎臓の機能はグラフの数値が小さくなればなるほど(下にいけばいくほど)悪化していることを示しています。つまり同じ慢性腎臓病の中でも正常の血圧や低血圧の子に対して、高血圧がある子は腎機能の悪化が早いということがわかります。
そのために慢性腎臓病の子では、定期的に血圧を測定して、高血圧が起こっていないかのチェックが必要になります。
あと、余談ですが慢性腎臓病は一般的には高齢で起こる病気ですが、猫の場合甲状腺機能亢進症という病気で2次的に高血圧や腎臓病、心臓病が併発することがありますから、この辺りのチェックもとても大切です。もし基礎疾患に甲状腺機能亢進症がある場合は、こちらをコントロールする事で腎臓病の進行を緩やかにすることが可能な場合があります。


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