腎生検というと聞きなれない言葉かもしれません。
簡単に言ってしまうと腎臓の細胞を取って検査するという事ですが、この腎生検には針生検という細い針を使って少量の細胞を取る検査から、ツルーカットという少し大きめの組織という細胞を塊でを採取する検査があります。
腎臓はかなり血液の豊富な臓器なので、生検後に出血を起こすリスクがありますから、それほど頻繁におこなう検査ではありません(針生検は出血のリスクは低いので比較的よくおこないますが)。
しかしこの検査を実施したほうがいい場合があります。
それは腫瘍を疑う場合と若齢の(特に犬)の蛋白尿を示す動物たちです。
犬の腎腫瘍は明らかに腎臓の構造が変化する場合が多く、生検をおこなわなくても腫瘍の可能性が高そうという事は判断できる場合が多いのですが、猫のリンパ腫は腎臓は腫張して構造も少しは変化していますが、明らかなしこりという風になっていない場合が多く、細胞を採取して初めて診断がつきます。
実際に、猫で慢性腎臓病と治療している子が転院されて来て、検査をさせて頂くとリンパ腫だったという事は少なくありません。この場合はリンパ腫で腎機能が低下していますから、リンパ腫の治療をおこなわなければ、腎臓の状態は改善してきません。
また非常に稀ですが免疫介在性の腎障害なども存在します。こういう病気に対しても診断や適切な治療をおきなうためには腎生検が必要です。
リンパ腫の場合はほとんど針生検で診断がつきますからそれほど大変ではありませんが、免疫介在性の病気の場合は組織検査が必要なため、出血のリスクを伴います。血液凝固系の検査をして血が止まりにくい状態ではないかの確認をするのはもちろんですが、当院では腹腔鏡のカメラを使って、生検後の出血がないかのモニターをおこない、安全に生検を実施するように心がけています。



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